アナスタシア

あゆみ姫
「こんにちは、あゆみです。此方は御主人様がイベントにて販売する3分の1サイズの和室の説明書件、宣伝になります。これから私達で組み立てを実践してみせますので、購入された御客様、もしくは興味をお持ちいただいた方は是非御覧の上参考になさって下さい」

あゆみ姫
「もぅ、ティアちゃんてば、どうしてそんなに機嫌が悪いの?」
ティアラ姫
「ちょっと、離しなさいよあゆみ……私は嫌よ」

ティアラ姫
「よく聞きなさいあゆみ。
巣作りなんてのはね、雄の役目なのよ?
女は男に肉を捧げ、男は対価として生涯女に衣食住を提供する言わば労働の奴隷になるの。
これは有史より変わらぬ不文律。
未来永劫変わらぬ不平等という名の平等よ。
男の仕事とは、言わば聖域であると同時に牢獄。
それは善きにしろ悪しきにしろ、女が踏み込めない不可侵の領域なの。
まったく困ったものだわ御主人様も……
まさか家を組み立てろだなんて、これはちょっと見方を変える必要があるかもね……」
あゆみ姫
「ティ……ティアちゃん……またそんな難しい事言って……」

ティアラ姫
「とにかく、私は降りるわよ」
あゆみ姫
「ま、待って、ティアちゃんてばぁ……」

あゆみ姫
「あうぅ……どうしよう……
こんなに大きいの、一人でなんて……」
???
「あゆみちゃぁーん!」

あゆみ姫
「み、皆さん……ッ
もしかして手伝ってくれるんですか?」
妖精?達
「うん。あゆみちゃん、悲しまないで、皆で手伝うよ!」
「ぱぱっと片付けちゃいましょう」
あゆみ姫
「有難う御座います。
宜しくお願いしますね」

あゆみ姫
「そ、それでは気を取り直して……
これより、組み立て作業に入ります。
必ずしも順番通りにしなければならないという事はないのですが、参考になさって下さい。
大きくて重い物もありますので、事故怪我の無いよう気をつけて作業していただけると幸いです」

①まず一番大きい連結大板を、上から見て、軽くコの次に開きます。
あゆみ姫
「皆さん、頑張ってー!
手を詰めたりしちゃ駄目ですよぉ?」

②装飾壁に棚板をつけます。
あゆみ姫
「裏側からネジで軽く締めて下さいね。
あまり強く締めすぎるとネジがスッポ抜けちゃうそうです
瑛里華さん、隙間は無いですかぁ?」

③縦柱2本を設置します。
あゆみ姫
「ニスを塗っていない面に
アルファベットと上下の記入が
あるので、壁面に貼っている
アルファベットと同じ物を、
上下を間違えないように設置して下さい
柱には磁石、壁には薄い鉄の板が
貼り付けられているので、
簡単に取り付けられます。
この後は、軽く開いた連結大板を
キチンとコの字に開いて下さい。
み、皆さん……しっかり支えてて下さいね?」

④横柱を下から設置します。
あゆみ姫
「縦柱と同じくアルファベット記入がしてあるので、
対応した場所に設置し、
横柱が綺麗に一直線に並ぶように
連結大板の開き具合を微調整して下さい。
くすくす……皆さん楽しそうですね。
なんだか私も楽しくなってきました」

⑤横柱の中段、上段を設置します。
あゆみ姫
「み、皆さん……
脚立の足はしっかり固定していて下さいね?」

あゆみ姫
「あ、あの……そんなところで遊ばれると……
ダヨちゃん、脚立の下はやめて欲しいです――ッ!?」

妖精?達
「あ、あぶない――ッ!」
あゆみ姫
「きゃぁぁぁッ――!」

ティアラ姫
「全く、世話が焼けるわね……」
あゆみ姫
「あ、ありがと……
ティアちゃん……来て、くれたんだ……」
ティアラ姫
「はいはい、手伝えばいいんでしょ?
ほんと……危なっかしくて見てられないわ」
あゆみ姫
「えへへ……」

ティアラ姫
「私のポリシーを曲げて手伝うんだから貸しは高いわよ?」
あゆみ姫
「ぅ……
お、お手柔らかにね……?」
ティアラ姫
「後、ちゃんと凛をしつけておきなさいよアーチャー?
ダヨは剣製で串刺しにしときなさい」

⑥襖をつけます
あゆみ姫
「横の中柱を少し浮かせながら下柱との間に入れ込んで下さい。
柱は磁石で設置しているので、はめ込みやすくなっています。
やっぱティアちゃんがいると作業が早いなぁ。
ティアラ姫
「ふふふ……当然でしょ?」

⑦障子をつけます
あゆみ姫
「麩と同じように、横の中柱と下柱の間に入れ込みます。
これは破れないように慎重に……慎重に……」
ティアラ姫
「いいのよ別に。
破けたら直すのは御主人様なんだし……」
あゆみ姫
「そ、それはちょっと……」

⑧畳と段を床に設置します。
あゆみ姫
「畳は縦向きに1列、横向き縦方向に2列、
半畳を縦向きに1列で設置します。
くすくす……
ダヨちゃんとネコアルクさん
飽きてきたのかな?」
ティアラ姫
「ダヨは最初から飽きてたでしょ、どうせ。
あ、赤の皇帝と会長は、桜の畳手伝ってあげて」

⑨天井をつけます。
あゆみ姫
「手前に来る左右の位置にネジ穴があるので、
増し締め手前まで締めます」
ティア姫
「やれやれ……これが一番の大仕事だったわ……」
あゆみ姫
「御疲れ様、ティアちゃん」

⑩棚板と天井を繋げる竹2本を設置します。
あゆみ姫
「手前に細い竹、奥に太い竹を、
共に太い方が天井側にくるように、
2本で計4箇所を、ネジで増し締め手前まで締めます。
空間が出来る場合は、付属のゴムワッシャーで隠します。
二人共しっかりと持ってて下さいねッ?」
ティアラ姫
「あゆみ、そいつはネコよ?
あ、陛下、そっちに後2mm寄せてちょうだい」

⑪電球のソケットを設置します。
あゆみ姫
「天井の裏側から付属のソケットを差し込み、
ネジで増し締め手前まで締め込みます。」
ティアラ姫
「ちょっとニャル子、
さすがに電気作業中はヤバイからあんまりはしゃがないで。
青子、ニャル子を押さえてなさい」

⑫天井照明枠を設置します。
あゆみ姫
「天井に貼ってある薄い鉄板に
磁石付きの枠を設置します。」
ティアラ姫
「そろそろ完成が見えてきたわね……」
あゆみ姫
「うんうん、かっこよくなってきたぁ」

⑬ライトをソケットに設置します。
ティアラ姫
「ようやくここまで来たわね。
点灯が楽しみだわ」
あゆみ姫
『前から思ってたけど、
ティアちゃん……ワザとズボンのチャック外してるのかな……』

あゆみ姫
「やったぁッ!」
妖精?達
「わぁぁぁぁッ――!!」
ティアラ
「うむ、キタコレ!」
あゆみ姫
「もう、また御主人様の真似して……
女の子がそんな事言っちゃ駄目だよぅ」

ティアラ姫
「なんだかつまらない意地を張っていたのが馬鹿みたいだったわね」
あゆみ姫
「えへへ」

ティアラ姫
「やれやれ……とりあえずこれで作業は終了かしらね。
いい汗かいたわ」
あゆみ姫
「ティアちゃん、御疲れ様でした。
それでは、これでひとまず和室の組み立ての説明を終わらせていただきます。
ここまでお付き合いいただき有難う御座いました」

ティアラ姫
「そうそう、売り物としては、今写真に写っているもの全てが該当となるわ。
電球はちょっと変わるけどね。
勿論、今私達が座っている座布団もつけちゃうわ。
え……? 私達二人もついてくるのかですって?
冗談言っちゃいけないわ、私達は身も心も御主人様のものなんだから」
あゆみ姫
「あうぅ……また、そんな誤解を招くような事を……」
ティアラ
「誤解……?」
あゆみ姫
「な、何でもないです……」

ティアラ姫
「後は和室購入者が自分で用意してもらうことになるけど、
棚、段、装飾壁は、こんな風に屏風や花瓶を置くと映えるわよ。
フラワーショップや、土産物店等で見つけるといいかもね」

あゆみ姫
「それでは最後に、皆で揃って、はいチーズ!」
ティアラ姫
「次の予定はホスト的なクラブを作るみたいだから、
もしかしたら、それの説明で会えるかもね」
妖精?達
「まったねーー!!」



ティアラ姫
「あら、桜じゃない。
こんな夜更けにどうしたの?」
あゆみ姫
「え……?
御主人様が呼んでるんですか?」
ティアラ姫
「もう……私は行かないわよ?
さすがに疲れたからもう寝かせなさいよ」

ティアラ姫
「分った、分ったから暗がりでその顔を近づけないでよ。
本気で怖いわ」
あゆみ
「くすくす……ダヨちゃんってば」

ティアラ姫
「と、言うわけで、来てみたんだけど、
どうやら収納状態の全体図を撮り忘れていたみたいね。
さっさとすませて戻るわよ」
あゆみ姫
「う、うん……」
ティアラ姫
「さて、これは私達で比較すれば分かりやすいと思うけど、
とてもコンパクトにまとまっているわ。
高さが約120cm、幅が約60cm、そして何と、
幅が約15cmという優れものよ。
家が狭いから……なんて人も安心ね」

ティアラ姫
「ふふ……どうこの薄さ?
むしろ薄すぎて倒れないか心配するレベルだわ。
本当に倒れないように、何かで固定しないとね」
あゆみ
「凄いね……
確か20分の1まで小さくなったとか……」

ティアラ姫
「さて、もう今度こそこれで終わりね?
もう絶対起きないわよ」
あゆみ姫
「もうさすがに大丈夫じゃないかな?
お休みなさい」
ティアラ姫
「ふぁぁ……また、ね……」